取材記事
 
医療の未来をつくる全国からの声 診療所探訪(2015年6月取材)
高度な検査と丁寧な聞き取りを両輪に、正しい診断と適切なアドバイスを/千葉県君津市 医療法人社団蓬莱会 水島外科内科クリニック院長 水島秀勝 先生
水島秀勝先生は二十数年間、大学の脳神経外科医局に所属し、専門医として臨床や研究に尽力してきました。また、医局からの依頼で、近隣に他の医療機関がない地域の病院に勤務した際には、内科を含む幅広い疾患を診療する必要があったため、内科の勉強会などにも参加して研鑽を積んだそうです。そうした専門性と総合性を兼ね備えた経験を生かそうと、2003年、水島外科内科クリニックを開設し、あらゆる疾患の診療に当たっています。
 
最先端の検査機器で早期発見に努める
水島先生が考える、かかりつけ医のあるべき姿とは、「できる限り診断に力を尽くす医師」です。「病院のベッド数が削減されつつある現在、クリニックの外来で疾患を早期発見し治療できれば、入院に至らなくても済みます。その意味で、かかりつけ医の重要性は大変増しています」。そこで同クリニックでは、素早く正確な診断を行おうと、CTやMRIといった高価な検査機器を導入しました。「めまいで悩む方をMRIで調べたところ、軽度の脳梗塞であることが分かり、入院せずに外来で治療した事例は数多くあります」。専門外の分野ですが、CTで早期の胃がんを見いだした時には、患者さんに感謝されると同時に、紹介先の専門医の先生には「よく見つけられたものだ」と驚かれたそうです。  
圧迫感の少ない開放型のMRIは臨床検査技師が操作し、小さな異変にも付箋が付けられ、水島先生に知らされます。
 
看護師の聞き取りで診療の質を向上

新しく入れ替えられた16列のマルチスライス型CTにより、頭部や胸腹部を短時間に細部まで調べられるようになりました。
  高度な検査機器を有する同クリニックですが、水島先生は機器だけに頼らず、診断を下さす際には患者さんの話にしっかり耳を傾けることを重んじています。しかし、高い評判が地域で広まり、同クリニックの1日の患者数は延べ200〜300名に達し、診療のキャパシティーは限界に近付いていました。「今、聞き取りを手伝ってくれているのは看護師です。患者さんからの話の引き出しが実にうまいので、強力な戦力になっています」。看護師は、めまい、頭痛など症状に応じて必要な情報を収集する他、咳が止まらない方にはピークフロー検査まで担い、できるだけ不明点がない状態で先生が診察に臨めるようにします。「こうすることで患者さんの待ち時間を減らしつつ、私は医師にしかできない質問や診断、治療に専念できるのです」。
 
具体的で分かりやすいアドバイスを
近年、増加している生活習慣病患者に対しては、どう生活改善をすればよいのかを分かりやすく伝えるため、水島先生は疾患とその対応方法を記したオリジナルの解説プリントを用意しています。「脂質異常症の方であれば、単に『脂質に気をつけましょう』ではなく、どんな食べ物に注意すべきかを示すべきです。日本人の場合、そもそも摂取量がそれほど多くないので、肉や卵はあまり気を使わなくてもかまいません。むしろ、『果物のように一見、体に良さそうな食べ物に脂質が多く含まれている例もあるので要注意!』など、具体的に注意喚起をしています」。常に最適な治療を提供しようとする先生は、検査で高度医療が必要となった時の連携先も数多く確保してあり、周辺の主な病院の責任者クラスの先生方はほとんど全員、顔見知りだそうです。「今後も患者さんの立場に立ち、謙虚な心掛けを忘れず、分かりやすい説明と診療に取り組みたい」と話してくれました。  
君津駅から徒歩1分の交通至便な同クリニックは、小児から勤労世代、高齢者まで幅広い年齢層の患者さんが受診に訪れます。